この度の、ワシントン出張報告を3つに分けていたします。今回は「その2」で、それぞれの会談の詳細についてです。
北朝鮮は、日本や米国の金融制裁や経済制裁により、瀬戸際まで追い込まれているのは紛れもない事実である。昨年10月には、核実験を強行した北朝鮮が本年に入って、6者協議の中で米国に擦り寄って制裁解除を目論んでいる。一方米国国務省は、核問題で進展があれば、テロ支援国家指定解除にやや前のめりになっていることは否定できない。
北朝鮮の常套手段である瀬戸際外交を展開しながら手を変え品を変え、米国の融和策を引き出そうとしていることを、過去の我々の経験から熟知しているのは、日本側なのである。
9月25日には、米国下院でテロ国家支援指定解除は、日本の拉致問題が解決しない限り解除すべきではないという内容の議案が下院に提出された。ロスレーティーネンはじめとする12名の保守派議員である。この法案への賛成者が現時点で28人に増えているものの、現時点では法案の実質審議は始まっていないのが実情である。このような背景のもと米国出張を行なった。
下院への法案提案者であるロスレイティーネン議員はもちろんのこと、ローラバッカー下院議員も早速提案者の一人として加わることを約束してくれた。また、同議員からラントス外交委員長に対し、審議を始めるよう要請してもらうことも約束した。また、一時大統領候補とも目されたブラウンバック上院議員(写真上)は、上院においても下院に提出されたような同様の趣旨の法案を、議会に提出すべく取り組むことを宣言してくれた。議会関係者は、国務省(ライス長官ーヒル国務次官補ライン)の推し進めるテロ支 援国家指定解除の動きに、批判のまなざしをもっていることは間違いないことを確認できた。
一方、国務省のヒル国務次官補(日本でも、頻繁にテレビ報道に出てくる国務省高官で、6ヶ国協議・北朝鮮問題の米国側交渉責任者)との会談では、我々は
・超党派で所属する拉致議員連盟(会員約200名)全員の総意として、テロ支援国家指定解除には絶対反対。
・テロ支援指定国家解除は、日米二国間同盟信頼関係におおきな歪みを生じることとなる。
・日本人拉致被害者がまだ全員帰国していない以上、テロは現在も進行形であり、過去6ヶ月間テロに加担していないとう解除の条件にあてはまらない。
・シリアと北朝鮮の核協力疑惑が払拭されていない現在、北朝鮮のみ指定解除するのは理屈が通らない。
などを根拠に厳しくヒルに迫った。日本の議会関係者と会談するのはヒルにとっても初めてのことであり、我々の主張は理解したものと思う。しかし、ヒルは、最終責任者はブッシュ大統領であると責任回避の役人的逃げの姿勢だ。
大統領府あるいは副大統領府補佐官はいずれも、我々の主張に真摯に耳を傾けてくれた。(写真下:副大統領府にてラヴィッチ副大統領補佐官)