先週末、米国が北朝鮮に対するテロ支援国家の指定をついに解除した。
ブッシュ大統領は、麻生総理に電話を掛け、拉致問題の配慮を表明した。ブッシュ大統領としては苦渋の選択であったに違いない。日本側の心配はわかるが、やむをえないのだという意思を伝えたかったのであろう。しかしながら日米同盟にとって最大の未解決テロである拉致問題の進展がみられぬまま解除となった。指定解除を行ったと言うことは、米国は北朝鮮が核を保有することを認めたことにもなりかねない。
米国によるテロ支援国家指定は、その国を「ならず者国家」と見なすという宣言である。過去指定を受けたリビアは大量破壊兵器の放棄を宣言し、2004年9月に破棄が完了。指定解除はその1年9ヶ月後の06年6月であった。これに対し、北朝鮮は今回核の検証すらも始まっていない段階で解除を手に入れた。アフガニスタン情勢が悪化し、大恐慌以来の金融危機にあえぐブッシュ大統領は、来年1月の任期切れを前に功を焦ったとしか考えられない。
しかし、象徴的とも言えるテロ指定が解除されたことは極めて遺憾であるが、解除後も実質的にはほとんどの対北朝鮮制裁は維持される。たとえば武器輸出管理法により、世銀からの融資は全て禁止され、海外援助法により北朝鮮への援助も全て禁止されている。国連安保理決議による制裁の他、人権侵害等に対する米国などの制裁も継続となる。今後は我が国としては米国等に制裁の継続を求めていくことが重要である。対北包囲網による経済制裁の効果は確実に上がっており、日本外交の正念場であると言える。
米国の指定解除を受け、10月15日午前、議員会館において「家族会」「救う会」「拉致議連」3団体合同の緊急役員会を開催した。
今回の指定解除の影響を最小限に抑えるために、日本政府は独自の追加制裁の発動を行うべきである。
私は以前より、米国のテロ支援国家指定に匹敵するような、日本版指定制度の創設が必要であると考えており、今回の指定解除によりその必要性を強く感じた。また北朝鮮と取引のある銀行との送金停止を行えるよう法整備も行っていかなければならないと考えている。
役員会終了後、3団体の代表は総理官邸に河村官房長官を訪ね、役員会で決議した要請文を手渡した。我々の要請に対し、河村官房長官より「ご家族の気持ちをきちんと受け止めている。北朝鮮に対するエネルギー支援は、拉致問題が進展しない限り、一切行わない。安倍内閣の方針と何ら変更はない。」と明言された。
また、我々からの要請もあり、夕刻には2年振りとなる拉致問題対策本部(本部長・麻生総理、全閣僚が出席)の会合も開かれた。
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