古屋圭司通信

 20日から23日までキム・ヒョンヒが来日した。
 彼女は、1987年の大韓航空機爆破事件の実行犯であることを忘れてはならない。韓国に捕らえられたあと特赦となった。
 確かに、拉致問題がややもすると国民の関心が薄れている中での来日であり、関心を再び呼び起こしたことは評価するが、何ゆえ政治資金問題で何一つ説明してない鳩山氏の別荘でやるのか。理解に苦しむ。そして、あの特別待遇や警備費用も問題だ。
 今回の会談では、新たな事実は判明していない。2回にわたるキム・ヒョンヒに対する警察聴取にて、キム氏は既に詳細を話していると、21日夜に面会した田口八重子さんの息子である飯塚耕一郎氏に話している。
 家族会や救う会は、当初から「もしキム氏来日の際には公の場に出してほしい」と強く要望していた。韓国では公の場に出て話をしているのに、日本では認められないとは日本政府の弱腰との謗りは免れない。国会の拉致特別委員会で参考人質疑などが実現できれば、少しは意義があっただろうが、今回の来日は、拉致問題の解決のためというよりも、政権が変わってから、現政権では拉致問題の基本方針すら決まっていない現実をみれば、パーフォマンスであるといわれても仕方がない。
 被害者家族との面会なら、韓国に訪問することで可能だ。今回の異常な報道から開放されて、政府認定以外の特定失踪者の代表も含めてじっくりと話をすることができるのではないか。
 もちろん家族会の皆さんと面会したことは、家族の皆さんの心情を思えばよかったと思う。ただし、情報の専門家を同席させていないのは、戦略的には失敗だ。
 ヘリコプターで観光を兼ねて移動したことなどはナンセンス。韓国では、大韓航空機爆破の実行犯で、多くの犠牲者をだしていることを配慮すべきで、国際的には理解しがたい話だ。
 22日夜に、キム・ヒョンヒとの会食で、拉致議連の平沼赳夫会長が議連を代表して出席する際にも「元テロリストとの会食は気乗りがしない」との言葉は今回の来日の問題を象徴しているのではないか。

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