紆余曲折を経て、6者協議の合意がなされました。
合意内容をみてみると、約束されたのは60日以内という期限を区切って寧辺(ニョンビョン)の再処理施設の停止、封印、監視をし、その見返りとして重油5万トンの供給をするというのみです。あとは、協議をすることと貿易規制終了の作業開始です。
この背景として、6者協議が決裂して更なる制裁が北朝鮮に課されることは、金正日にとって痛手となる為、なんとしても避けたかったのではないでしょうか。巷でいわれているような北朝鮮の粘り勝ちとはいえない結果といえます。
かつて米朝は、ジュネーブ合意の中で、ブルトニュウム核開発凍結状態を履行した段階で、毎年50万トンの重油と軽水炉の無償提供でした。結果として約束を履行しなかったため支援は凍結されたが、今回の合意は内容的にはジュネーブ合意と同様のものだが、たった5万トンという小さな見返りでブルトニュム核開発凍結を約束していることからも、いかに北朝鮮が追い込まれていることの証ではないでしょうか。
マカオ銀行「バンコ・デルタ・アジア」の北朝鮮口座のうち、合法的なものを一部解除しても、全体としては体制に影響があるとは思えないし、かつ金正日がスイスなどに秘匿している秘密資金は凍結されていることは変わりありません。
日本政府が貫いた「拉致問題が進展しない限り重油支援をしない」という原則は、北朝鮮をはじめ中・露・韓に対し、拉致問題が解決しない限り日本は譲歩しない、との強いメッセージでもあります。今回の日本政府のとった行動を高く評価したい。
一部与党のなかには、日本の「孤立化」を心配する発言がでていますが、言語道断です。今こそ、政府は北朝鮮に対し国民の支持とともに毅然たる態度で臨まなければならない時に、このような発言をすることは、北朝鮮の術中にまんまと嵌ってしまうことになりかねません。
米国が、北朝鮮のテロ支援国家指定の解除について言及しているとの報道がありますが、ブッシュ大統領の発言は「そのプロセスを始める」「拉致問題解決抜きの解除はない」としており、引き続き、日本政府は米国と緊密な連携をとりながら、指定解除に繋がらないように働きかけをしていくべきであります。
近々に、拉致議連(北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟)の総会を開催し、拉致議連としても政府を協力バックアップしていきたいと考えています。