古屋圭司通信

去る5月30日に、「真の人権擁護を考える懇談会」の平沼会長をはじめ主な役員、座長の私と、与謝野馨・自民党政務調査会長との意見交換会を行ないました。我々からは、与謝野政調会長に次のような提案をしました。
<A案>政府案の問題点を解消するために条文の修正を行なう。
・人権侵害の定義の明確化
・人権委員会の権限を縮小
・加害者のレッテルをはられた者の保護に関する規定の整備
・人権擁護委員の資格要件の明確化
<B案>現行法を活用する
・現行の人権擁護委員法の改正
・人権擁護基本法(仮称)の制定
しかし、いずれを採るにしても、
・そもそも現実にいかなる人権侵害が発生し、なぜ本法案が必要なのかという、立法の背景となる事実の把握が不十分であること
・仮にA案のように修正を行なうとした場合、政府案の基本的な制度設計の転換を伴うものとして、修正にはなじまないのではないか
等々のことを考えると、現段階でA案、B案いずれかを採用することは困難であり、まずは十分な時間をかけて、いかなる人権侵害が発生しているのかについて、幅広く関係者から実情報告を求めるとともに、市町村長、関係団体、関係省庁などからヒアリングを行いつつ慎重な検討が必要不可欠である詳細はこちらをご覧ください)≫


これに対し、与謝野政調会長より、「B案を採用するのは難しい。しかし、A案については、早急にどのような対応が可能か検討し、回答したい」とのことでした。
 その後6月2日に与謝野政調会長より回答があり、早速「真の人権擁護を考える懇談会」にて検討をしましたが、「提示された対応は枝葉部分についてのみの修正に留まり、根本的な問題点は依然として未解決のままであり、受け入れることはできない」との結論に達しました。(詳細はこちらをご覧ください)≫
 以上が政府修正案の人権擁護法案に対する我々の結論です。各紙有力メディアも、朝日新聞を除いて、この人権擁護法案に反対の論調です。特に2月に論評を載せて以来沈黙していた読売新聞が、6月7日付の社説で、「国会提出には抜本改正が必要だ」とのタイトルで明確に反対のスタンスを示しました。私たち「真の人権擁護を考える懇談会」のメンバーは、人権侵害に対する擁護は絶対なされなければならないが、本法案は逆に恐ろしい人権侵害を新たに発生させる危険をはらんでいるので、反対しているのです。ぜひとも良識ある皆さんのご支援をお願いします。
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