第164回通常国会閉会にあたって
カテゴリー:議員活動
2006年06月19日
6月18日をもって通常国会は閉会しました。
提出法案の9割は成立したものの、教育基本法をはじめとする重要法案が軒並み継続審議となりました。本来なら大きな選挙も無い本年こそ大幅に会期を延長し、これら重要法案の成立を目指すべきだったと思います。特に、教育基本法改正は私自身も熱心に取り組んできたので、小泉総理が自らの指示で会期延長せず早々と閉会を決定してしまったことは残念です。
かつて政治改革をめぐって中選挙区制か小選挙区制かで大激論があった際、自民党は一時的に下野し、また経済界までもが予算成立を遅らしても政治改革法案の成立を優先すべきと主張するなど異常な状況での国会運営がされました。その時、小選挙区制に最も反対した一人が小泉総理でした。「小選挙区は、時の執行部に権力が集中し独裁政治がまかり通る」というのが当時の小泉総理の主張であり、この制度の欠点と議院内閣制の制度上の曖昧さを徹底的に利用して政権運営を行なってきたのがこの5年間であったと思います。
小泉政権では、政治と有権者の距離を縮めたり、主要企業や大都市などの景気・活力を生み出したという成果があった反面、地方や中小零細企業の疲弊が深刻な状況に陥ってしまったこと、将来への不安が増幅してしまったことなど、マイナイス面が大きいかったのも事実です。
私は、昨年の総選挙の際にも有権者の皆さんに、今必要な改革は、「地方の視点に立った構造改革・産業構造改革。弱い人でも強くなれる社会システムの構築。再挑戦できる制度の確立。」と訴え私の選挙公報にも載せさせていただきました。
昨年の総選挙から9ヶ月余りの間に世間の認識も大きく変わり、一時期もてはやされたライブドアや村上ファンドは、司直の手による裁きをうけています。また、福井日銀総裁が、就任後も村上ファンドに投資したまま、捜査の噂が立ち始めた今年の春になって解約手続きをするなど、金融政策の責任者までが、自らの立場をも忘れ、常識が「麻痺」していたのではないか思っています。
日本の産業は、ライブドアや村上ファンドに象徴されるような「虚業」ではなくて、最先端技術を駆使したものづくり産業や、それを支えてきた質の高い中小企業群、綿密な計画・運営のもとで展開する流通・通信・サービスなどの第三次産業が、 経済の中心でなくてはなりません。もちろんIT産業の進展は不可欠ですが、ITはこれら産業をさらに高度化するための道具としての役割が極めで重要であり、ITを利用した株価吊り上げ、あるいはITそのものが目的化してしまっては本末転倒であります。さらにはグローバル化という名のもとで行き過ぎた米国追従型システムはわが国の国益にとってもマイナスではないかと思えてなりません。
一方では、戦後教育の中で軽視されてきた、日本が培ってきた良き伝統や歴史、倫理観や道徳観などを再び教育の中で(学校だけではなく、家庭や地域全体の責任で)、子供たちにしっかりと植え付けていかなくては日本の将来はないと思っています。
いよいよ、9月の自民党総裁選挙に向けて動き出しました。私は、次期総理は、ただしい国家観をもち、改革の質的転換をはかり、日本人に勇気と自信を回復できるような、強力な指導力・説得力・説明力をもった候補が就任すべきであると考えています。私は、その資質を兼ね備えているのは、安倍官房長官であると思います。一部に安倍氏の経験不足や若さを指摘するむきもありますが、イギリスやアメリカなどを見ても40代、50代初頭のリーダーが就任し、経験豊かな専門家が分野別に廻りを固めて政権運営をして成果を上げていることからも、それを不支持の理由とはなりえません。
私にとっても、昨年の選挙以来の9ヶ月間は、国会議員としての16年間の歩みを振り返り、活動してきました。この貴重な経験は今後の政治活動に必ず役に立つと信じて、これからも信念をもって諸施策に邁進してまいります。