古屋圭司通信

 日本と明白に距離を置いていた盧武鉉政権から李明博政権に変わり、李大統領も日本との新たな関係を構築すべく、シャトル外交の展開や実利外交の推進を掲げ、歴史認識問題のみに重きをおくことなく未来志向の関係の構築に向けて、順調なスタートを切った。
 しかし、BSE問題で韓国の対応が国民の信頼を失い、李大統領の支持率が急落したことが竹島問題という領土問題に飛び火しようとしている。 支持率回復の手段として反日を再び旗印にするのではないかともいわれている。
 そもそもの発端は、7月中旬に決定予定の我が国の中学校教科書の新しい学習指導要領の解説書に「竹島を我が国の固有の領土」と明記されるという報道がなされたことに始まる。竹島が我が国の固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明らかであり、現に外務省ならびに政府は公式パンフレットを発行して、明確に我が国としての主張をしている。
 にもかかわらず、韓国政府からは、「未来に向かって進もうというわれわれの努力と逆行する行為だ」として、日本政府に対しこうした記述を入れないよう求めている。政府は、李政権の支持率急落への配慮や、サミット開催を間近に控えて、ことを荒立てたくないとの思惑もあるやに伝えられているが、領土問題は主権の根幹をなすものであり全くナンセンスな議論だ。
 韓国側は、これで反日運動が高まるとせっかくよいスタートを切った日韓関係にヒビが入り、日本政府に訴えているという。極めて意図的だ。しかし、韓国の教科書の新指導要領をみると、竹島問題は歴史ではなく地理で教えることが決まっており、明らかに地理的にも韓国の領土であることを教える内容となっている。
 ここで、日本が物分りのよい対応をすれば、韓国側の主張を容認したことと理解され、我が国の国益を考えればあってはならないことである。ましてや子供たちが学ぶ教科書の解説書に、我が国の立場を教えることは当たり前のことであり、文部省はもとより外務省、政府は毅然たる態度で対応すべきだ。

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胡主席の訪日に想う

カテゴリー:外交, 議員活動

2008年05月09日

 5月6日から10日まで、中国の胡錦涛国家主席が日本を訪問した。
 思い起こせば、10年前に江沢民主席が来日した際には、江氏の進める「抗日路線」を基本に、日本に対して歴史認識などで厳しい態度に徹した。天皇陛下主催の晩餐会においても、慇懃無礼な言動は、日本国民に極めて不愉快な思いをさせた。しかし今回は一転して、「友好」の演出が至るところでなされた。メディア報道もおしなべて好意的だ。
 また、首脳会談や共同声明の内容をみても、「戦後60年平和主義に徹して、世界に貢献した」旨の言及があったこと、あるいは地球温暖化問題で我が国の提案が評価されたこと、歴史問題についても「歴史を直視し、未来に向かう」程度の文言で収まったことなど、評価される面もある。しかしその背景には、中国は北京オリンピックを控え、チベット問題等で世界的な非難を受ける中、どうしても成功したいという思いがあることをしっかりと認識しておく必要がある。
 チベット問題について、福田総理からダライラマ側と対話を進めてほしいとの要請は行なったものの、人権弾圧や信教の自由への迫害、また1950年の弾圧以来17万人を超える僧侶を虐殺したという事実をみるとき、内政問題ということで片付けられる問題ではない。チベットだけでなく新疆ウイグル地区の人権侵害についても、世界から大きな批判の目にさらされているが、これについての言及はなかった。中国側が、ダライラマ側との更なる対話を行い、自由と民主主義、基本的人権、法の支配を基本価値観とする多くの諸国が納得できる対応を進めるために、厳しくその動向を見つめていかなくてはならない。
 オリンピック憲章には、「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立」が明記されており、北京オリンピック開催の条件として、この憲章の遵守を約束していることからも、なおさらのことである。安倍前総理が歴代総理大臣との朝食会で、あえてこの問題に触れたことは勇気ある発言であり評価したい。
 ガス田の問題についても、我が国にとって当然ともいえるべき結論を得られなかったし、また尖閣諸島をはじめとする領土問題でも、実質的な進展はなかったことをみると、千載一遇のチャンスを逃し、胡主席に点数を与えてあげた訪日という印象は否定できない。
 餃子問題については、福田総理から「うやむやにすることは許されない」との発言があったことは評価するが、そもそもこの事件が発覚した時点で、毅然たる態度をとっていれば全く別の展開になっていたと推測される。
 そして、今回のいわゆる「微笑み外交」に隠された部分、即ち中国が覇権主義を目指しているのではないかという疑念は、全く晴らされていないのである。即ち、国防費が20年連続で二桁増加して、本年は日本の防衛費を越えて6.6兆円にも達していること(米国の調査では1400億ドルといわれている)、かつて装備はほとんどロシアに頼っていたが、現在ではイージス艦、原潜、F15に匹敵する装備を自前で調達可能なこと、台湾に向けて1000発のミサイルを配備している現実、米国大陸に届くミサイルの増加、宇宙への軍事がらみの進出など、東アジアの軍事バランスを根本から変え、アジア太平洋を越える戦略的機能を向上させているのではないかと。首脳会談では一切の言及はなかったし、共同声明でも、「お互いに(!?)安全保障分野の透明性を高める」という趣旨が言及されたにすぎない。
 戦略的互恵とは、戦略的パートナーシップとは異なる次元の外交ワードあることを、改めて認識した上で、中国との外交を戦略的に進めていくことが不可欠だ。

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DSC03412.JPG 本日午後、キューバ国ホセ・フェルナンデス・デ・コシーオ・ロドリゲス駐日大使が、日本・キューバ友好議員連盟の会長である私に対し、着任の挨拶のため、議員会館にお越しになりました。コシーオ新大使はカナダ大使、メキシコ大使、イギリス大使、アイルランド大使等を歴任された、かつてない大物大使です。このことからも、キューバの日本に対する評価及び期待の大きさが読み取れます。
※私が何故キューバに関心を持ったのかは昨年4月4日のブログに記しています。
会談では冒頭、コシーオ大使から私に、昨年両国の貿易保険の限度額を大幅に引き上げた功績や、対キューバとのリスケ交渉に今日まで尽力してきたことに関して最大限の謝意が述べられました。(対キューバの貿易保険は2005年には150億円でしたが、2011年には280億円に拡大される予定です。)キューバにとって日本は大変重要な貿易相手国となっています。
しかし、日玖関係がすべて良好であるとはいえません。今月末には2008年以降の返済を決定する民間リスケ交渉が始まります。キューバ側は大幅な債権免除を日本側に要求してくるものと見込まれます。二国間の貿易はお互いの信頼があって成り立ちます。一方的な債権免除は到底受け入れられません。友好議連とはいえ、国益を守るのが国会議員としての最大の務めです。双方が納得でき、今後の日玖貿易が発展できるような形で決着がはかれるよう、議連としても精一杯応援していく考えです。
また大使より、来る10月30日、キューバ政府は「アメリカ合衆国による対キューバ経済・貿易・金融封鎖を終わらせる必要性」と題する決議を国連総会に提出する旨の報告がありました。この決議は過去15年にわたり国連に諮られており、昨年は183カ国が同決議に賛成しています。米国政府による経済封鎖は、米国国内法に基づいて実施されています。私はこの米国による政策は、自国の法律を第三国にも当てはめるという、国連憲章及び国際法にも反していると考えています。米国は同盟国であり、日本にとって最も重要な国であることは間違いありません。然しながら日米関係は対等のパートナーとして、個別の案件に関しては、是々非々で論じるべきであると考えています。私は今回の決議についても、政府・外務省に働きかけていくことを、大使に約束しました。

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19_5_17.JPG 5月17日に、「価値観外交を推進する議員の会」を発足させた。既にマスコミで報道されているが、同志議員43名でスタートした。会長に就任した私は、冒頭で次のような挨拶をさせていただいた。趣意書と合わせごらんいただければ、この会の趣旨がお分かりいただけると思う。自民党政調会長の中川昭一氏を顧問に迎え、当日は同氏より講演をしていただいた。
 昨年総理就任直後、安倍首相と中国首脳との会談が実現したことは大きな成果。しかし一方では、微笑み外交の裏側にあるものにも直視していく必要がある。合意された戦略的互恵関係は、パートナーシップとは異なり、経済や文化交流の深化など、両国のメリットのために取り組むことは多いに推進すべき。
 その際でも、知的財産問題に象徴されるような深刻な問題には厳しいスタンスで接するべき。また毎年多額の軍事費を増額して、覇権拡張の危険な道を歩み始めているのではないかとういう憂慮すべき事実や、ニュースでも報道されているように、例えば中国の「労働教育制度」などは基本的人権に照らしても明らかに問題である。
 そして、この議連の基本理念である「自由、民主主義、基本的人権、法の支配」という普遍的価値を共有する国ではないとのことは、常に心していかなくてはならないと考える。
 議連としては、この共通の価値観をもつ国々や人々と連携をしていきたいと考えている。今日は、この視点から中川政務調査会長にご講演をお願いしたいと思っている。中川先生よろしくお願い致します。
 そして、もう一つこの議連が目指すものをお話ししたい。自由・民主主義・基本的人権・法の支配という価値観と根幹で相共有するのは、真の保守主義ではないかと思う。
 拉致問題をはじめ、私が離党する前には人権擁護法案の対応で、党内で激しい議論があった。その後も、皇室典範問題や靖国問題、最近では憲法改正のための国民投票問題、あるいは民法772条のいわゆる300日問題があった。このような、基本理念や思想哲学を問われる問題については、同じ方向を持つ同志議員を糾合しておく必要があると思う。このような際にも、結束して行動できるグループとして機能していければと考えている。
 改めまして、本日このように大勢の議員のみなさんにご参集いただいたことに対し、御礼申し上げます。それでは、中川先生よろしくお願い致します。

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19_5_14_2.JPG 安倍晋三首相と考え方が近い古屋圭司元経済産業副大臣ら自民党の中堅・若手保守派が存在感を増している。今月中旬には「価値観外交を推進する議員連盟」を設立し、党内の政策論議をリードする構えだ。
 自民党内では歴史認識や北朝鮮問題をめぐり、拉致議連などの議員グループがタカ派的な党内世論を形成してきた。しかし、昨年九月の安倍内閣発足後は、議連の中核を担ってきた首相や中川昭一政調会長が政権運営、党運営に専念せざるを得なくなり、活動は停滞していた。
 そこに登場したのが、首相や中川政調会長と気脈を通じる古屋氏。「郵政造反組」の古屋氏は離党を余儀なくされていたが、昨年十二月に復党。若手保守派と連携し、党政務調査会の会合で持論を展開するようになる。
 特に、古屋氏らが注目を浴びたのは、国民投票法案(憲法改正手続き法案)の与党修正案と、離婚後三百日以内に生まれた子は一律「前夫の子」とみなす民法規定の見直し問題だ。
 国民投票法案をめぐっては、当初の与党修正案で、国家公務員法、地方公務員法上の政治的行為の制限規定を「国民投票運動では適用しない」としたことに「労働組合が組織的な反対運動をする」などと反対。最終案で「適用除外」の条文を削除させた。三百日規定見直しでも、部会で「拙速だ」などと反対論を展開し、特例新法の今国会提出見送りに追い込んだ。
 新議連は、こうした保守的政策を推進するために党内保守派を再結集する。会長に就任する古屋氏は「首相と価値観を共有する人たちで、しっかりとしたグループを作っておくことが大切だ」としており、「非安倍」を標ぼうする加藤紘一元幹事長らのアジア外交関係の議員グループに対抗する狙いもある。

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19.4.24.JPG 親安倍VS反安倍 参院選後にらみ
 夏の参院選後の政局をにらんで、国会議員の政策勉強会である「議員連盟」の動きが活発化しつつある。議連は党派を超えて同志を募ることができるため、昔から政界の多数派工作に利用されてきた。実は安倍晋三首相の“十八番”の戦術でもある。首相批判の急先鋒の加藤紘一元幹事長らも議連の活動に熱心に取り組んでおり、議連を使った主流・反主流の駆け引きは今後ますます激化しそうだ。
 「われわれは外交非主流派だ。安倍内閣の外交政策を正そうとしている」
 山崎拓元副総裁、古賀誠元幹事長との「新YKK」による安倍包囲網構築を目指す加藤氏は22日の民放番組でこう言い切った。
 加藤氏は昨年夏、「アジア外交・安保ビジョン研究会」(アジビ研)を設立。月1回ペースで、首相の外交政策に批判的な講師を招き、勉強会を続けている。加藤、山崎両氏は27日からアジビ研のメンバーらとともに中国、韓国を訪問。首相の訪米牽制を狙う。
 内政課題でも、野田毅元自治相が「真の地方財政の確立を考える会」を設立した。首相の経済成長を重視する財政・社会保障政策に批判的な勢力も水面下でさまざまな勉強会を続けている。
 議連は自民党内で無数にあり、多くは業界団体などをバックにした議員親睦会にすぎない。しかし、参加に党派の拘束を受けない上、活動を通じてメンバーに同志的な結束が生まれるため、党内で賛否が二分するような案件では、議連が政局のカギを握ることも少なくない。
 
 歴史的にみても、首相が属した町村派は、故福田赳夫元首相が昭和35年に反主流派を束ねて設立した議連「党風刷新連盟」が源流といわれる。津島派のルーツである「経世会」も、故竹下登元首相を中心とした勉強会だった。平成17年の郵政解散では「郵政事業懇話会」が郵政民営化反対派の拠点となった。
 安倍首相も議連活動に熱心で、9年に「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(歴史教育議連)や超党派の拉致議連などを相次いで設立。これが頭角をあらわす契機となった。
 
 その後も自民、公明両党の「人権問題懇話会」が人権擁護法案の成立を目指すと、反対派議員らが「真の人権擁護を考える会」を結成して対抗。小泉純一郎前首相の靖国神社参拝をめぐっては、反対派の野田氏らが靖国問題勉強会で活動を始めると、参拝を支持する若手議員らが「平和靖国議連」を使って首相の参拝を後押しした。昨年の総裁選では「再チャレンジ支援議連」を発足し、福田康夫元官房長官を擁立する動きを封じた。
 安倍首相はこうした議連の「効用」を熟知しているだけに、加藤氏らの動きに神経をとがらせる。加藤氏のアジビ研の動きを牽制するように、首相と親しい古屋圭司衆院議員が「価値観外交を推進する議員連盟」の設立を決めた。中川昭一政調会長も顧問に就任する予定だ。この議連が、アジビ研の動きにどう抵抗していくかが注目される。
 自民党の主な議員連盟

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19_3_23.JPG 安倍晋三首相の「主張する外交」路線を支持する自民党の中堅・若手議員が、議員連盟「価値観外交を推進する議員の会」(価値観外交議連)を結成することが22日、分かった。安倍外交への批判を続け反主流派の受け皿となりつつあり、加藤紘一元幹事長が主宰する「アジア外交・安保ビジョン研究会」に対抗し、牽制(けんせい)する狙いがあるようだ。
 価値観外交議連は、拉致問題などに首相とともに取り組んできた古屋圭司衆院議員が呼びかけた。すでに約20人が名を連ね、統一地方選後の5月上旬にも設立総会を開き活動を本格化する。
 現在、自民党には「アジア外交・安保ビジョン研究会」や、逢沢一郎議運委員長が会長の「アジア戦略研究会」などがあるが、いずれも中国との関係を重視している。
 これに対し、古屋氏らの新たな議連は、ブッシュ米大統領が打ち出し「自由、民主主義、人権の尊重、法の支配」を共有する国家間の同盟関係を強化するという価値観外交に立脚。中川昭一政調会長も顧問として参加を予定しており、勉強会を通じ、安全保障から経済戦略まで幅広く理論武装していく考えだ。
 22日は国会内で世話人会を開き、元中国共産党幹部で現在は台湾総統府国策顧問の阮銘氏が、中国の台湾戦略について講演した。

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日本中を湧かせたキューバとのワールドベースボールクラシック決勝戦の翌日、3月22日、キューバ国のカブリシャス大臣が来日されました。カブリシャス大臣は駐日大使としての経験もある知日派として、カストロ首相からの信任も厚い方です。

(さらに…)

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