北朝鮮による国家犯罪である拉致は、日本や韓国のみならず、マカオ、タイ、ヨーロッパ各国をはじめ、判明しているだけでも12カ国にも被害が及んでいる。もはや一国のみの問題ではなく、広く国際社会共通の問題として解決のための連携を深めていかなければならない。
過去5回開催されてきた六カ国協議で、拉致問題は「日本と北朝鮮との二国間問題」とされてきたが、もはや事態はそのようなレベルではなく、北の核やミサイルが国際社会を脅かす問題であるのと同様に、拉致問題も国際社会における重大な問題となってきている。今、拉致問題は解決に向けて、新たな段階に入ってきている。
4月に横田早紀江さんがブッシュ米国大統領に面会し、直接拉致問題解決への支援を訴えた。北朝鮮による拉致問題と核問題は同様に重要であり、問題解決に向け働きかけを強めるとの約束を得た。北朝鮮による拉致問題という「悪」に対し、米国は断固戦うというメッセージを世界に発信した。現時点では被害者が一人も判明していない米国が、ブッシュ大統領の強い指導力により毅然とした態度をとっているにもかかわらず、政府認定被害者16名、特定失踪者が400名以上いる日本が後手に回ることは断じて許されないことである。
我々拉致議連は、これまで日本人被害者を早期に救出し、被害者の家族を支援することを目的に活動を展開してきたが、事態の深刻な状況が明らかとなった今、広く国際社会に呼びかけ、北朝鮮による世界中の拉致被害者全員の早期救出に取り組む決意を新たにした。
政府・小泉総理は、来月予定されているブッシュ大統領との首脳会議や、7月にロシア・サンクトペテルブルクにおいて開催されるサミット、秋に開催される国連総会、各種諸国間会合の場等々において、主要議題としてこの問題をはかり、国際社会の世論を高め、北朝鮮に対する圧力を強めることにより、拉致被害者全員の返還を求めてゆくべきである。
我々拉致議連も韓国側有志議員との連携など、あらゆるチャンネルを通じて、広く国際社会に拉致問題の深刻さと解決のための協力を訴えてゆく決意である。
以上、決議する。
平成18年5月29日
北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟
会長 平 沼 赳 夫
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