古屋圭司通信

 日本と明白に距離を置いていた盧武鉉政権から李明博政権に変わり、李大統領も日本との新たな関係を構築すべく、シャトル外交の展開や実利外交の推進を掲げ、歴史認識問題のみに重きをおくことなく未来志向の関係の構築に向けて、順調なスタートを切った。
 しかし、BSE問題で韓国の対応が国民の信頼を失い、李大統領の支持率が急落したことが竹島問題という領土問題に飛び火しようとしている。 支持率回復の手段として反日を再び旗印にするのではないかともいわれている。
 そもそもの発端は、7月中旬に決定予定の我が国の中学校教科書の新しい学習指導要領の解説書に「竹島を我が国の固有の領土」と明記されるという報道がなされたことに始まる。竹島が我が国の固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明らかであり、現に外務省ならびに政府は公式パンフレットを発行して、明確に我が国としての主張をしている。
 にもかかわらず、韓国政府からは、「未来に向かって進もうというわれわれの努力と逆行する行為だ」として、日本政府に対しこうした記述を入れないよう求めている。政府は、李政権の支持率急落への配慮や、サミット開催を間近に控えて、ことを荒立てたくないとの思惑もあるやに伝えられているが、領土問題は主権の根幹をなすものであり全くナンセンスな議論だ。
 韓国側は、これで反日運動が高まるとせっかくよいスタートを切った日韓関係にヒビが入り、日本政府に訴えているという。極めて意図的だ。しかし、韓国の教科書の新指導要領をみると、竹島問題は歴史ではなく地理で教えることが決まっており、明らかに地理的にも韓国の領土であることを教える内容となっている。
 ここで、日本が物分りのよい対応をすれば、韓国側の主張を容認したことと理解され、我が国の国益を考えればあってはならないことである。ましてや子供たちが学ぶ教科書の解説書に、我が国の立場を教えることは当たり前のことであり、文部省はもとより外務省、政府は毅然たる態度で対応すべきだ。

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 昨年12月末ならびに本年2月20日に、原油高対策につき閣議決定して実施しているが、その後も原油の高騰はとどまるところなく上昇している。
 私は本年春に党3役とともに視察を行い、その対策強化を決定したが、メディアでは、イカ釣り漁船の一斉休漁が断行されたことが報道されるなど、その状況は益々厳しくなっている。家計や企業に深刻な影響が生じているだけでなく、中小企業は価格転嫁を行なうことが難しく極めて厳しい環境に直面している。
 このような状況の中、自民党政務調査会(古屋圭司副会長)の原油価格高騰対策PT(プロジェクトチーム)にて、その対策強化について議論を重ねてきたが、このたびその案を取りまとめた。
 詳細はこちらをご覧いただきたい。 原 文  概  要
 原油高の背景には、世界の投機マネーの原油市場への過剰流入や新興国の原油需要の増大、あるいは産油国側の対応など、構造的要因によるところが大きく、我が国だけで解決できるものではない。しかし、この第三次石油危機とでも命名してもよいほどの深刻な状況に対し、緊急的に出来る限りの支援策を講じていくべきである。
 そのためには、原油高対策に充分な予算の確保をしていくことに全力を挙げたい。今週にも決定される「骨太2008」にも原油高対策への抜本的対策が盛り込まれるが、補正予算での対応が不可欠だ。さらには、かつて未曾有の貸し渋りの際に実施した、無担保・無保証による特別融資制度を今回も発動すべき時期かきていると考える。30兆円近い特別融資を行なった結果、10万社を超える企業がその恩恵に与った。その際も代位弁済率は6%程度に収まった。
 党主導の実施にむけ、鋭意取り組んで参りたいと考えている。

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月例経済報告08年6月号

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2008年06月19日

拝啓
 時下益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。いつも温かいご指導ご支援を頂きましてありがとうございます。
 今月の基調判断は「景気回復は足踏み状態にあるが、このところ一部に弱い動きが見られる」です。堅調だったアジア向けの輸出や企業収益、生産活動などほとんどの分野で弱さがみられていることから、下方修正されています。さらに今年に入り、基調判断も3回下方修正がされており、警戒感が増している状況といえます。
 いつも慎重な表現をする政府の月例経済報告でさえも、このように下方修正を明確に打ち出していることは、原油高や穀物・飼料、食料の高騰など複合的要因による景気減速が深刻なものとなっていることの証ではないでしょうか。月例経済報告
 このような中で、来年度の経済・財政の基本方針を定める来年度予算ならびに政策の骨子となる「基本方針2008」(いわゆる骨太方針)が、今月末の策定を目指して議論が始まっています。自民党においても連日各会議で熱い議論が行なわれています。もちろん、無駄を徹底的に省くことは当然のことですが、歳出削減のみが全面に出てしまうのはいかがなものか。全体的なトーンも危機感が足りないことに加え、経済成長戦略への取り組みや地域活性化・地域再生、社会保障制度、教育、原油高騰対策など、重点的に取り組むべき項目を大幅修正すべきだと考えます。
 国会は、小幅延長を決定しています。その理由は去る5月22日に成立したASEANのEPA(経済連携協定)条約を憲法の規定に従って30日後に成立させるためです。アジアの経済発展そして日本の国益のために重要な条約ですが、残念ながら問責決議が参議院で可決した結果、野党は全く審議に応じないのでやむなく延長をしたわけです。
 しかし、宮城県の地震発生により、衆議院の災害対策特別委員会、また拉致問題特別委員会は開催することになりました。このようなちぐはぐな対応はいかがなものでしょう。ましてや、衆議院において内閣信任案を出し成立したことからも、一体なんのための問責決議案であったのでしょうか。
 さて、 メディアでも連日報道されていますが、先週の二日間、北京にて拉致問題に関し日朝実務責任者会議が開催されました。メディアでも連日報道されているように、北朝鮮は、従来からの「拉致は解決済み」との主張から、「再調査」と態度を変えました。しかし、だからといって安易に制裁解除をすることは極めて危険です。
 拉致議員連盟(古屋圭司事務局長)において、次のとおりの声明を発し、早速拉致担当大臣である町村官房長官を家族会の横田早紀江さんらとともに総理官邸に訪ね、申し入れを行ないました。町村長官からは北朝鮮とは行動対行動であり、拉致が解決するかあるいは明確な進展なき限り、制裁解除は行なわない旨の発言がありました。今後も国家テロである拉致問題については、毅然たる態度で臨んで参ります。
               対北朝鮮制裁緩和に関する声明
①  政府は具体的進展が確認できない限り、制裁の緩和は絶対に行わないこと。
②  政府はよど号犯人の帰国について、制裁緩和とは全く無関係である旨、明確
    にすること。
③  政府は具体的進展がない場合には、北朝鮮による従来からの引き延ばし、
    若しくは騙しであるので、直ちにより強固な制裁を行うこと。
④  政府は引き続き米国に対し、日米同盟に鑑み、拉致問題の具体的進展が明
    確とならない限り、テロ支援国家指定解除を行わないよう強く要請すること。
 今後とも、尚一層のご指導ご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
                                            敬具

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IMG_4665.JPG 先週北京で日朝実務者協議が開催され、北朝鮮側が拉致問題の「再調査」と「よど号」犯引き渡しへの協力を行うことが明らかとなった。日本政府はこれを「一定の前進」と評価し、わが国は北朝鮮への制裁を一部解除する方針であると発表した。しかし、この程度の提案で制裁を一部解除するのは、あまりにも時期尚早である。
 北朝鮮が従来の立場を変更して拉致問題での協議に臨んできたのは、近年のわが国と国際社会からの圧力が効果を上げたからに他ならない。
 日本はこれまで、北朝鮮の調査に何度も煮え湯を飲まされ続けてきた。今回の「再調査」も結果を見てからでないと、とても信用できない。従って具体的な進展がはっきりと確認されるまで制裁を緩めることはできない。
 さらに懸念されることは、わが国が制裁の一部解除を行うことが、米国におけるテロ支援国家指定解除の動きを加速させかねないということだ。
 事態が動き始めた中、すべての被害者を帰国させるという拉致問題解決の本来の目標のために、政府関係者のより一層の覚悟と努力を心から求めたい。政府の発表を受け、我々拉致議連は6月16日午後、緊急役員会を開催して下記の声明を発表した。
               対北朝鮮制裁緩和に関する声明
①  政府は具体的進展が確認できない限り、制裁の緩和は絶対に行わな
    いこと。
②  政府はよど号犯人の帰国について、制裁緩和とは全く無関係である
    旨、明確にすること。
③  政府は具体的進展がない場合には、北朝鮮による従来からの引き延
    ばし、若しくは騙しであるので、直ちにより強固な制裁を行うこと。
④  政府は引き続き米国に対し、日米同盟に鑑み、拉致問題の具体的進
    展が明確とならない限り、テロ支援国家指定解除を行わないよう強く
    要請すること。

IMG_4685.JPG この声明を翌17日午後2時、拉致問題担当大臣である町村官房長官を官邸に訪ね、「家族会」「救う会」とともに要請を行った。これに対し町村官房長官は「再調査とは行動対行動のレベルである。拉致問題が解決するか、あるいは明らかな進展がない限り制裁解除は行わない。」との発言があった。

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 春先から、自民党の人権問題等調査会(太田誠一委員長)で、13回にわたり会議を開催してきた。私も、毎回その議論に参画をしてきた。
 すでに、関心のある皆さんは報道やネットを通じてその議論の中身も承知しておられることと思うが、太田委員長より「話し合い解決」法案なる私案が提出された。参考までに「話し合い解決」等による人権救済法(案)骨子を添付する。太田委員長いわく、今までに指摘された問題点を踏まえた骨子案であることを説明したが、果たしてそうなのか。
 十三回の調査会の議論を通じて明らかになったことは、我々が危惧していることがほとんど払拭されていないことだ。話し合い解決というといかにも優しい感じを受けるが、実体は、政府から独立した委員会(3条委員会?)を設置して調査権を認めるものであるし、「差別的言動」や「畏怖困惑させるもの」、「差別助長行為」など、極めて曖昧且つ恣意的判断の余地を残す定義など、3年前に問題点を指摘した政府原案の中身が包含させており、言論・表現の問題を裁判所ではなく、行政機関が行なうことは全く政府案と変わっていない。などなど。
 確かに、刑務所や入管など公務員による人権侵害は年間2000件を越えており、人権擁護推進審議会の答申でも、いわゆるパリ原則でも、公務員による人権侵害は強く指摘している。太田私案で賛成できるのは、公務員が行なう人権侵害の点くらいである。
 そもそも、人権侵害、差別虐待、いじめ等様々な事例を法律で全て網をかけてしまおうとする発想事態が極めて危険であると改めて認識するものだ。人権侵害という絶対的尺度で判断できないものを、法律万能主義のもとで対応すること自体、新たな人権侵害を惹起しかねない。
 来週の水曜日に開催される予定の調査会には、人権擁護法案について造詣の深い日大法学部の百地章教授が参考人としてこの「太田私案」に意見を述べていただくことが決定している。百地教授の鋭く且つ的確な問題点の指摘を期待している。太田委員長は、ある有力議員に13回も議論してきて何もできないのでは鼎の軽重を問われると話したといわれている。果たしてそうだろうか。調査会における各議員の発言を聞いていても、論理的に推進をはっきりと主張する議員はほとんど存在しないのが現実だ。あらゆる角度から議論した結果、立法することは適当ではないと(公務員による人権侵害はともかく)結論を出すことこそが、調査会長としての立派な見識ではないだろうか。

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IMG_0300.JPG 6月5日(水)午前、議員会館において、恒例となったリニア中央エクスプレス建設促進国会議員連盟(超党派)とリニア中央エクスプレス建設促進議員連盟(自民党)の合同総会が開催されました。今年からは民主党リニア議連も参加(本年4月に設立)し、3団体合同での開催となりました。国会はねじれ国会ですが、リニア建設推進に関しては与野党一致協力して取り組む体制が整いました。
 総会には例年通り、国土交通省、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、JR東海、鉄道総研の代表が出席し、沿線都道府県知事で作る建設促進期成同盟会からは神田愛知県知事、古田岐阜県知事、横内山梨県知事も出席し、我々議連対し、大変熱のこもった要請がありました。
 会議では冒頭、幹事長である私から議連の名称変更の提案を行い、全会一致で承認され、それぞれ「リニア中央新幹線建設促進国会議員連盟」「リニア中央新幹線建設促進議員連盟」と変更しました。この「中央新幹線」という名称は、全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づく名称であり、議連がこの名称を使うことにより、リニア実現に向け大きく前進することになります。
 JR東海は、この全幹法適用による建設を目指しており、まさに議連とJR東海が一体となって建設に邁進することとなります。
IMG_0302.JPG そして、この全幹法適用の第一歩となるのが、5項目による調査となります。現在は「地形・地質調査」の指示のみが国土交通大臣よりJR東海に対し出されていますが、あとの4項目の調査指示が、喫緊の重要課題となっており、議連の決議の第一項もこの問題を取り上げています。
 今年中には「地形・地質調査」の報告がなされる予定であり、国土交通大臣より残り4項目の調査指示が出されることが現実のものとなってきました。
 この5項目調査が完了すると、交通政策審議会を経て国土交通大臣よりJR東海が営業並びに建設主体に正式に指名されます。その後環境アセスメントが実施されると本格的な工事が始まります。リニア中央新幹線は2025年の開業に向け着実に動き出しました。我々も全力で応援していきます。
*参考:岐阜新聞

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